The MPS Trio Sessions / George Shearing
ジョージ・シアリングは、高名な割にあまり聞かれていないような気がする。少なくとも現在の日本では。2年前までご存命だったんですけどねえ。
私にしてもシアリングの演奏をきちんと系統立てて聞いてきたかというと、とてもそんなことは言えない。1950年代にアメリカのみならず当時の日本でも人気を博したというヴァイブとギター入りの上品なクインテット(「五重奏団」というほうが雰囲気が出ますね)の演奏や、最晩年の余裕綽々としたピアノ・トリオの演奏はいくつか聞いたが、どちらかと言えば「バードランドの子守歌」や「Conception」をはじめとした素晴らしい曲の作曲者というイメージのほうが強い。まあ本当に大昔には、シアリングのコピー譜を一所懸命練習したりもしたのですが。
で、まだ年齢的にも枯れていない、脂が乗りきっていたころの「ジャズっぽい」シアリングの演奏というと何がいいのかなと思い、適当に勘で買ってみたのだがこれは当たりだった。1977年から79年にかけてMPSに吹き込んだ、ギター入りドラムレス・トリオの演奏を集めたもので、当時は『Windows』『500 Miles High』『Getting In The Swing Of Things』という3枚のLPとして出ていたようだ(たぶん3枚とも未CD化)。この3枚分の音源に加えてオーケストラ入りの『On Target』と、本来『Feeling Happy』という名前のLPとして出るはずだった(らしい)未発表セッションの音源まで全部詰め込んだ徳用盤で、CD4枚組というなかなかヘヴィーな分量だが、どの曲もムラ無く良い出来なのでお買い得だと思う。MPSなので録音も最高だ。
なにせベースを弾くのが豪腕ペデルセンなので、ドラムスがいなくてもちゃんとスウィングしまくるのが良い。ギター担当のルイス・スチュワートは知らない人だが、地味なジョー・パスという感じで仕事はきちんとこなしている。ぱっと見ではチック・コリアの曲を2つ取り上げているのが目を引くが、他の曲にも無理の無い範囲でかなりモダンなアレンジが施されていて、70年代ならではの現代的な透明感のようなものが素直に打ち出されているのが魅力的だと思う。
こんな感じ。
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