Charlie Haden, 1937-2014
チャーリー・ヘイデンが亡くなった(JazzTimesの記事)。近年まで活動を続けていたし、当人としてはやり残したこともあったのかもしれないが、まあ76歳なので大往生の部類であろう。2009年にカルテット・ウェストを率いて来日したことがあって、見に行くつもりだったのだが直前になって用事が入り行けなかった。これがおそらく生で見る唯一の機会だったので、今となってはちょっと残念である。
私が初めてジャズに触れたのは、秋葉原のワゴンセールで買った怪しげなコンピレーションCDだった。その中にキース・ジャレットの弾くMy Back Pagesが入っていて(オリジナルはSomewhere Before 所収)、気に入って繰り返し聞いたものだが、実はこの演奏でベースを弾いているのがヘイデンなのである(ちなみにドラムスはポール・モチアン)。だから、彼は事実上私が初めて本格的に聞いたジャズ・ベーシストと言える。
作編曲家やオーガナイザーとしても優れた才能を持っていたヘイデンだが、個人的にはまずジャズ・ベーシストとしての卓越した力量が印象に残る。重くてしかも抜けが良いという独特のベースの音自体が魅力的なのは言うまでもないが、様々な楽器、様々なスタイル、様々なタイプの人とデュオという難しいフォーマットで名演を残しているのも凄い。相手の持ち味を殺さず、それでいてちゃんと自分の色も出すあたり、余人の追従を許さなかった。強力な個性があれば、逆に誰とでも付き合えるのだということを身をもって教えてくれたのが、、オーネット・コールマンからハンク・ジョーンズまで見事にサポートしてみせたヘイデンの個性溢れるベースだったように思う。
個人的に好きなヘイデンの演奏を二つだけ。一つは先ほども出てきたキース・ジャレットと組んだデュオだが、ここでもピアノに絡みつくヘイデンのベース・ラインが、甘さに流れがちなキースをジャズの範疇につなぎ止めているのだと思う。これは本当に素晴らしい演奏で、キースのベストといっても差し支えない。
もう一曲は、こちらも因縁浅からぬオーネット・コールマンとのデュオ。こちらもヘイデンのベースがしっかりしているおかげで、オーネットがいつにも増して腰を据えて吹きまくっており、聞くたびに爽快になる。
というか、もうお気づきの方もいると思うが、これらは両方ともClosenessというアルバムに収録されている。残り2曲がいまいち、録音もややいまいちという致命的欠点はあるのだが、とりあえずヘイデン早わかりの一枚としては、このアルバムがよいのではないかと思う。
なお、一応YouTubeにリンクは張ったものの、いかんせん低音が痩せてしまうので、ここはやはりCDなりちゃんとした音楽配信なりで聞くべきだと思います。
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