Alabama Feeling / Arthur Doyle

体調はほぼ良くなったのだが、相変わらずフリージャズばかり聞いている。体が求めるというか、なんかそういう時期があるんですかねえ。老化かもしれんが。

アーサー・ドイルはもちろんシャーロック・ホームズの作者ではなく、1944年生まれのマルチリード奏者である(2014年死去)。メインはテナーサックスだがバスクラリネットやフルートもこなす(あまり上手くはない)。大学で音楽教育を学んだとかで、最初はオーソドックスなジャズを志向していたらしいのだが、なぜかこういうことになってしまった。

このAlabama Feelingがデビュー作なのだが、まことに尋常でない音楽である。ベース、ツイン・ドラムス、トロンボーンとドイルのサックスの二管という編成だが(だから確かにアーサー・ドイル、プラス4なんだけど、普通はクインテットという呼称で済ますよね)、ドイルが繰り出すニワトリが絞め殺されるかのような咆哮の傍らトロンボーンは割と淡々と吹いていて、なんだかメンタル強そうだ。というかこのバンド、ドイルはドイルでひたすらホゲーとかギャオオオウとか吹いているのだが、周りは全く相手にしていない(そしてドイルも周りを相手にしていない)感じがすごい。なのにちゃんと音楽として面白い。それどころか変な中毒性すらある。

1978年と言えばジャズはフリーも含めてとうに峠を越えて、フュージョンとかブラコンとかそういう軟弱な音楽が流行っていた時代のはずだが、そういう時流に背を向けるどころか そもそも気づいてなさそう なあたりに凄みがある。ジャズ・ファンよりもノイズとかデスメタルとかのファンのほうが刺さるかもしれない。ついでに言えば、ジャケット・デザインからもなんと言いますか、電波がひしひしと伝わってきませんか。ハオハオとかヨヨーて一体なんなんだよ。こういう人もちゃんと生息できるインクルーシブな世界であってほしいですね。

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