Pontius Pilate's Decision / Delfeayo Marsalis

ブランフォード、ウィントンの次に来るマルサリス家の三男坊、デルフィーヨ・マルサリスは兄貴たちの活躍が派手なので今ひとつ注目を浴びることがないが(昔ウィントンがよくやっていた名曲、Delfeayo’s Dilemmaのデルフィーヨってなんのことだよというので知られているかもしれない)プロデューサーとして手腕があり、なかなかうまいトロンボーン奏者でもある。最近はUptown Jazz Orchestraというビッグバンドを率いて活動しているようだ。
とりあえず次兄が演奏する「デルフィーヨのジレンマ」。何がどうなってるんだかさっぱり分かりませんが、今聞いてもかっこいいですねえ。
そのデルフィーヨのリーダーデビュー作が1992年のこの作品だ。イエス・キリストの処刑にゴーサインを出したローマの総督、ポンテオ・ピラトの決断という大層なタイトルをつけており、曲名もキリスト受難物語にちなんでいて、ジャケットもなんといいますかこれなので、ずいぶん昔に買うには買ったのだけど、昔のウィントン・マルサリスものにありがちな重厚で辛気くさいかぎかっこ付きの「大作」なのではないかと長年敬遠して積ん読ならぬ積ん聴に陥っていた。ところが、別にイースター、復活祭だからということでもないのですが、最近になって改めて聞いてみたら案外良かったのである。中身は特に宗教的ではなく、分厚いアンサンブルが冴える躍動感溢れる演奏だ。デルフィーヨは作編曲にも相当な才能があったんですね。
参加ミュージシャンを見るとブランフォードとウィントンの兄貴二人(と弟のドラマー、ジェイソン)は当然として、ケニー・カークランドやロバート・ハースト、ジェフ・ワッツといった当時のマルサリス組の面々もさることながら、ジョシュア・レッドマンやマーク・ターナーが入っている。そりゃ演奏も良いわけだ。CDでの入手は難しいでしょうが、本人のサイトからデジタルダウンロードできるので、興味がある方はぜひ。
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