The Bitten Moon / Jon Hazilla

ジェームズ・ウィリアムス(1951-2004)は今思うと夭折と言って良いくらいに若死にだったんですねえ。なんと享年53である。1955年生まれで同じテネシー州メンフィス出身のマルグリュー・ミラーも2013年に57歳の若さで亡くなってしまい、フィニアス・ニューボーン・ジュニアやハロルド・メイバーンといった1930年代生まれの世代を彼らが継ぐはずだった「メンフィス・ピアノ・コネクション」は事実上絶えてしまったのだった。教会音楽やメンフィス・ブルーズの伝統とビバップ以降の洗練されたモダニティを絶妙にブレンドした彼らのコクのあるピアノ・スタイルが私の理想なのだが、なかなか真似ができるものでもない。
このアルバムはドラマーのジョン・ハジラという人がリーダーのピアノ・トリオ作。ハジラはパフォーマーとしての知名度は全く無いと思うが長年バークリー音大のドラムスの教授をやっているらしく、教則本も出している。正確無比だが派手さが全く無く、正直プレーヤーとしては華が無いと言わざるを得ないが、まあこれはウィリアムスのピアノを聴くアルバムですね。フィニアスの十八番だったSugar Rayがとくに聞きものだ。残念ながらSpotifyにもYouTubeにも音源がないのだが、Apple Musicにはあります。
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