Jackeyboard / Jack DeJohnette
ジャック・デジョネット、亡くなってしまいましたね。享年83。それなりに高齢ではあったが、最近も未発表秘蔵テープの発表に協力したりしていて元気だと思っていたので驚いた。
チャールズ・ロイドやジャッキー・マクリーン、ビル・エヴァンスとの共演を経て、マイルス・デイヴィスのいわゆるロスト・クインテットの推進力になり、その後はECMに数々の作品を残しつつキース・ジャレットのスタンダーズ・トリオの一角を占めるなど、長年活躍してきたデジョネット。本業はドラムスだが、若いころはプロのピアニストとして活動していたこともあった。地元シカゴではサン・ラー・アーケストラの幕間に彼がピアノを弾いていたらしい。
後年も彩りとしてピアニカなどを弾くことはあったが、ふつうのジャズ・ピアニストとしてピアノを弾き倒した音源というとこの『Jackeyboard』くらいしかないかもしれない。マッコイ・タイナーの影響を受けたと思われる迫力ある演奏で、知らなければ聴いてピアノがデジョネットだと当てられる人はまずいないだろう。日本制作でジョージ大塚がドラムスを叩いていて、録音のせいもあってかデジョネット的なドカドカとたたみ込むような演奏なんだけど、デジョネットは当時の意欲ある日本人ドラマーのお手本だったのだろうか。当時の日野元彦も、ジョー・ヘンダーソンのバックで叩いているときとかなんとなくデジョネットぽいんだよな。しかし1曲目、McCoy’s Tuneとなっているけど、本当にマッコイの曲なのかしらん。他で聞いたことないんだが…。
個人的にはデジョネットあたりが最後のモダンジャズ・ドラマーだったのかなという気がする。私にとってモダンジャズとは、個性を最重視する音楽なのである。デジョネットもそうだし、彼のマイルス・バンドにおける前任者トニー・ウィリアムスはもちろん、アート・ブレイキーでもマックス・ローチでもロイ・ヘインズでも、あるいはバディ・リッチでもいいが、皆個性的だった。現代のジャズ・ドラミングの水準からすれば技術レベルはそこまでではなかったのかもしれないけれど、誰も一聴すればすぐ当てられるくらいに独自のスタイルを確立していた。そういう意味で、優れたドラマーは今もいっぱいいるんだけど、ディファレント・ドラマーはあまりいない。こういうのは年寄りの繰り言みたいなところはあって、当人も自覚はしているのですが、でもねえ。
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