The Stepper / Frank Butler

10年くらい前、Elemental Musicが、長年まとまった形でリイシューされてこなかった(日本では徳間ジャパンとかが頑張っていたけど)Xanaduレーベルの諸作をXanadu Master Editionと銘打って順次CD化していくという話があり、おっちゃんとても喜んだのだが、結局最初に出た23枚(当時25枚という話を聞いたのだがあとの2枚はなんだったのだろう)で終わってしまったのである。Xanaduものは全部で211枚あるはずだが、今でもストリーミングにあまり無いし、相変わらず聞くのに骨が折れるジャズ・レーベルと言える。

当時Elemental Musicがリイシューしたのはほとんど徳間の紙ジャケとかですでに私が持っているものばかりだったので、実のところあまり買わなかったのだが、そんな中買い損ねたというか存在に気づいていなかったものがあって、それがこのフランク・バトラーの初リーダー作The Stepperである。今ごろ買って聞いてみたらなかなかよかった。

フランク・バトラーは1928年カンザスシティ生まれだが、基本的には西海岸で活躍した人で、1950年代から60年代にかけては現地のトップ・ドラマーと言ってよい存在だったと思う。近代ジャズ・ドラミングの父パパ・ジョー・ジョーンズに「世界最高のドラマー」と言わしめた実力は伊達ではない。というか、小技が豊富なあたりジョー・ジョーンズに似ていますね。

私は、白人中心でアレンジ重視のいわゆるウェストコースト・ジャズではない、ウェストコーストが地盤の黒人によるハードバップ・ジャズというのが独特の乾いた味わいがあって結構好きなのですが、その中核だったベーシスト、カーティス・カウンスのグループで達者なドラムスを叩いていた人という印象が強い。1963年にはマイルス・デイヴィスに雇われてSeven Steps To Heavenの半分、いわゆるハリウッド・セッションに参加している(残りでドラムスを叩いているのはトニー・ウィリアムス)。

残念ながらこのあたりからヘロイン中毒で身を持ち崩したようで、長年半引退状態だったらしい。それが70年代に入ってXanaduのプロデューサー、ドン・シュリッテンに請われて復活し、ようやく録音した初リーダー作がこれということになる。

冒頭のタイトル曲は20分くらいあって、大半がバトラーのドラム・ソロである。ドラム・ソロはやるほうは楽しいんだろうがよほどの力量がないと退屈なものになりがちだが、さすがはバトラーというべきか、次から次へと技を繰り出して聴き手を飽きさせない。最後、カルテットによる妙にスウィンギーなテーマが出てきて唐突に終わる。

その後はカルテットでの演奏で、バトラー、ピアノのドロ・コーカー、ベースのモンティ・バドウィッグはXanadu録音の常連だが(私はドロのきびきびしたピアノが好きなのでそれだけでちょっとうれしいけど)、ジャック・モントローズがテナーサックスというのがちょっと珍しいような気がする。とにかく目玉は冒頭20分で、なんと言いますか、ずっと不遇で、このあとちょっとだけ脚光が当たったのに間もなく肺ガンで世を去ってしまうバトラーという人の人生を賭けた存在証明という感がある。

いちおうYouTubeにはある。いわゆるA面。

後半B面。

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