Beyond Quantum / Anthony Braxton, Milford Graves, William Parker

Beyond Quantum

アンソニー・ブラクストンというと、端的に言ってキワモノという根強い偏見があって食わず嫌いしていたのだが、息子のチョンダイや、メアリー・ハルヴァーソンらウェズリアン大学での弟子たちの活躍もあって、最近ではちょっと師匠の彼にも興味が湧いてきた。

で、虚心坦懐に2008年のこの作品を聞いてみたのだが、悪くない。図形譜使ってますとかチューバ100本編成のために曲書きましたとか、大体においてだからどうしたという感じが否めなかったブラクストンが、ケレン抜きの一インプロヴァイザーとして勝負に出たという感がある。脇を固めるグレイヴズやパーカーも、きびきびとした反応でブラクストンを大いに鼓舞しているようだ。Tzadikなので当然ジョン・ゾーンがプロデュース、さらに録音とミックスを手がけるのがビル・ラズウェルという豪華な裏方の存在も、緊張感の維持に効果大だったに違いない。

ヴォイスの使い方とか、例によってハッタリくさいところはなきにしもあらずではあるが、ブラクストン再評価のとっかかりとしては絶好の一枚だと思った。

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