ドラマーとしてのモーリス・ホワイト
アース・ウィンド・アンド・ファイアー(EW&F)のリーダーだったモーリス・ホワイトが亡くなったそうだ(The Guardianの記事)。74歳。今年は出だしから音楽界の大物が結構亡くなりますね。
正直に白状すると、私はEW&Fがちょっと苦手だ。理由は実のところ当人にもよく分からないのだが、おそらくニューエイジっぽいところにアレルギーを感じるのではないかと思う。同じ宇宙方面でもサン・ラーとは大違いである。まあ、ご多分に漏れずSeptemberとかBoogie Wonderlandとか、あまり知られていないのではCan’t Hide Loveとか、好きな曲もいっぱいあるのですが…。ちなみに最後のは最近ケンドリック・ラマーがなぜかカバーしていて(たぶんディアンジェロが昔演っていたからだと思うが)、ワカッチョルネーと思いました。
ところで、ホワイトが元々ジャズ・ドラマーだったことはあまり知られていないのではないかと思う。ストーンズのチャーリー・ワッツも昔ジャズ・ドラマー(志望)でした、というようなのとはレベルが違い、ホワイトはちゃんとしたプロで、一時期はチェス・レーベルのハウス・ドラマーみたいなことまでやっていた。当時大人気だったラムゼイ・ルイス・トリオからレッド・ホルトが抜けたとき、その後任に入ったくらいである。ルイスには恩義があるということなのか、1974年のSun Goddessには当時人気絶頂だったと思しきEW&Fが全面参加している。ホワイトも(久しぶりに?)ドラムス叩いているみたい。
なんでそんなことを私が知っているかというと、ソニー・スティットのSouls In The Nightという、わたくしのようなスティット好き(かつバンキー・グリーン好き、加えてオーデル・ブラウン好き)にはたまらないアルバムがあるのですが、そこでややドタバタ気味ながらなかなかうまいドラムスを叩いているのは誰だろうと思ったら、それがホワイトだった、ということがあったからである。
私が知る限り、EW&Fで成功を収めた後のホワイトはジャズとの接点は全く無かったと思うのだが、彼独特のバネが利いた天性のリズム感は、おそらくEW&Fの成功にも一役買っていたのではないかと思う。しかし良い曲をいっぱい書いたよねえ。ご冥福をお祈りします。
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