ジェリー・ゴンザレス
ジェリー・ゴンザレスも今年亡くなってしまった。2000年以来スペイン・マドリッドに移住していたようだが、家が火事になり、煙を吸い込んで心臓発作を起こしたらしい。享年69。
ゴンザレスというと、個人的には初リーダー作のYa Yo Me Cureがどうしても印象に残る。キップ・ハンラハン率いるアメリカン・クラーヴェ・レーベルの第一弾でもある。私には、ラテン音楽は明朗快活、単純明快というイメージ(というか偏見)があったのだが、ここでゴンザレス(とハンラハン)が提示するのは重層的で陰翳に富んだ、クールな熱狂とでも言うべきもので、極めて中毒性が高い。
ただ、今から振り返れば、結局その後ゴンザレス自身がこうした路線を追求することは無かったわけで、これはハンラハンのセンスなんでしょうね。
ゴンザレスはパーカッショニストとしては文句なく一流だったと思うのだが、トランペット吹きとしては、まあなんといいますか、それほどでも無かったような気がする。下手というわけではないのだが、あまり高度なことは出来ないし、引き出しが少ないという印象は否めない。ただ、その少ない手札をやりくりして、狙った展開にばっちり収めるという手腕には極めて長けていた。この方法論がうまくはまったのがセロニアス・モンクの曲の解釈で、1988年のRumba Para Monkは、「モンク曲のラテン風解釈」という一つの型を作った、影響力の大きい作品だと思う。
ゴンザレスというと、弟のベーシスト、アンディらを含むフォート・アパッチ・バンドがよく取り沙汰されるが、かっこいいんだけど割と普通のジャズというか、ゴンザレスでなければ出来ないというものでも無かったような気がする。残念ながらライヴを見たことがないので、あまり確定的なことは言えないのですが…。
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