The Jack DeJohnette Piano Album

ドラムスが本業の故ジャック・デジョネットが本腰を入れてピアノを弾いている作品は、先日取りあげた1973年の『Jackeyboard』くらいしか無いかなと思っていた。ところが、その名も「ピアノ・アルバム」があるだろうという温かいコメントを頂いた。全くノーマークでした…。1985年の録音である。『Jackeyboard』は日本録音ということもあり、古野光昭、ジョージ大塚という日本勢がバックを務めていた。一方こちらは、ベースがエディ・ゴメス、ドラムスがナシートの父フレディ・ウェイツという陣容だ。

一応、昔CD化されたことはあるらしいが、今は手に入れにくいようだ。音楽配信もされていないみたい。おそらく原盤のLandmarkレーベル自体が、買収されたMuseレーベルと同様、一貫したリイシューの対象になっていないからだろう。残念なことである。

内容は、ハードバップらしさ全開のジジ・グライスの「Minority」あり、ソロ・ピアノでピシっと決めたデニー・ザイトリンの「Quiet Now」あり(ビル・エヴァンスへのオマージュ?)、コルトレーン曲あり、自作曲もありと、良く言えば多彩、悪く言えば一貫性が無いレパートリーである。ピアノだけではなく、当時出始めと思しきシンセなども使用しているが、シンセのせいかリズムのせいか、なんだかワールド・ミュージックぽくなっているシンディ・ローパーの「Time After Time」は、マイルス・デイヴィス・トリビュートということなのだろうが、けだし珍品と言えよう。

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