Chasin' The Bird / Barry Harris

Chasin the Bird

先日、久しぶりに中古CD屋へ行ってしこたま買い込んできたのだが、掘り出し物が多くて喜んでいる。掘り出し物といっても珍しいものではなく、よく知っている人のあまり有名ではない作品が、予想以上に良かったので驚いた、という話だ。こういうもののほうが、期待していないだけうれしいものである。

バリー・ハリスは昔から好きなピアニストで、もちろんCDは何枚も持っていて愛聴しているが、たまたまこのCDは持っていなかった。どうやらリヴァーサイド・レーベルにおける最終作らしく、この次の作品はプレスティッジに移籍してしかも5年後という感じなので、発表当時にしてもほとんど注目されなかったに違いない。ドラマーがハリスお気に入りのリロイ・ウィリアムスではなくクリフォード・ジャーヴィスなのが若干珍しいかなというくらいで、メンツといいレパートリーといい、特筆すべきことは一見何もないように見える。私にしたところで、まあ聞いたことがないから一応買っておくか、くらいの軽い気分で買っただけなのだった。

まあ、実際地味なピアノ・トリオには違いないのだが、微妙なニュアンスというのか、ちょっとした音の置き方みたいなものになんとも言えない味わいがある。もともとハリスの魅力とはそういうものだと言われればそれまでの話だが、ハリスの他の作品と比べてもかなり快調な演奏だと思う。それが一番わかりやすい形で出ているのが最後を飾る「The Way You Look Tonight」で、テーマの歌わせ方なんかもう最高です。

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