The Crypt - 12th June 1968 / AMM

フリージャズは好きだが純粋なノイズ・ミュージックはあまり馴染みがないのだけれど、イギリスの前衛音楽グループAMMが1968年に残したこの作品なんかは良く聴く。というか、60年近く前にこういうことをやっていたというのは一体どうなのよ。しかし残念ながら未だに音楽配信には載っていないようだ。本当に良いものは大体配信に無い…。昔出たCDも結構入手が難しいのではないかと思う。
一応人間たちが様々な楽器を生で弾いているライヴ(!)のはずなのだが、どの楽器もノイズ発生器としてしか使われておらず、ピーとかガーとかゴーとか飛行場の近くの騒音のようなものが延々と続くので、たぶん初めて聞く人は面食らうのではないかと思う。でも人間の業と言いますか、辛抱して聴いているとちゃんと音楽の構造というか、やっている連中の意図のようなものは聞き取れるのである。そうして轟音のうねりに身を任せると(ヘッドフォンを着けてでかい音量で聴くとよろしい)、なんだか気持ちよくなってくるというか、かなりトリップできる。内容がこれな割にえらいポップで意味不明なジャケット・デザイン(なんだかタッチが江口寿史のイラストみたい)も含めて、不朽の名作というか、まあノイズ界はそんなによく知りませんけど、たぶん現在まで含めてこの種のものの極北ではないかと思う。
こういうのを生成AIが「ちゃんと」作れるようになるのはいつのことかなあ、と考えることもある。案外遠くないような気もするのだが。
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