Ain't No Sunshine (Live in Seattle) / Brother Jack McDuff

今年2024年も例によっていろいろジャズの発掘盤が出たが、個人的に死ぬほど繰り返し聞いたのはこれだった。

オルガニストのジャック・マクダフが1972年、シアトルで行ったライヴの未発表録音で、 実に実に 素晴らしい。冒頭を飾るTheme From Electric Sufboardは、ブルーノート盤Down Home Styleに収録されたオリジナルはある意味ヘルシーで(当時の)一般受けしそうな量産型ファンクだったが、ライヴ盤での演奏はぐっと腰を落としたというか、あえて言えばどことなく病的な感じまで漂っていてたまらないものがある。どろっと濃厚だがコテコテというのともちょっと違うし、ビターが効いている感じ?

今回のやつ。

BN盤の演奏。ずいぶん雰囲気が違いますでしょ?こちらのほうが良いという人もいそうだが…。

他にも強烈なアレンジが施されてダサかっこいいThree Blind Miceなど聞きどころは多い。正直タイトル曲のAin’t No Sunshineが一番つまらない…。

ライヴのサイドマンは、かつて1960年代にマクダフが率いていた「ザ・ヒーティング・システム(加熱器)」バンド――サックスのレッド・ホロウェイ、ドラムスのジョー・デュークス、そしてなんといってもギターにジョージ・ベンソン――と比べると正直小粒というか、みんな1.5流から2流くらいの人たちなのだが、しかしそれをマクダフのタイトな統率力とアレンジの妙が十分補っている。技量はともかく熱気と根性だけは売るほどあるという、残念ながら近年のこぎれいなジャズからはあまり聞けなくなってしまったタイプの音楽である。おすすめ。

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