Live At The Captain's Cabin / Charles Tolliver
これも2024年の発掘盤。
チャールズ・トリヴァーはフレディ・ハバードあたりと比べると今ひとつ華が無く一般的人気とは無縁だったが、素晴らしい爆発力を持つトランペッターだった。トランペットがフロントのワンホーン・カルテットというのはジャズで一番難しい形態だと思うのだが、トリヴァーが率いたMusic Inc.はまさにそういうグループで、実質トリヴァーのトランペット(と相棒スタンリー・カウエルのピアノ)だけで音楽を成立させていたのはすごい。
今回出てきたのはカナダのクラブでの1973年6月の録音で、時期的には1973年12月の東京公演を収めたLive in Tokyoの直前ということになるが、ピアノはカウエルではなく、1972年8月のLive at the Loosdrecht Jazz Festival(Grand Max)でもピアノを弾いていたジョン・ヒックスが弾いている。音質は発掘ものとしては可も無く不可も無しという感じだが、トリヴァーのトランペットの音の輝かしさは十分に捉えられている。
まあ、いかにも70年代ぽいクリント・ヒューストンのアンプ増幅でビョンビョンしたベースや、Live in Tokyoにも参加していたがどうも今ひとつぱっとしないクリフォード・バーバロのドラムスなど、リズム面でやや問題はあるのだが、カウエルほどの引き出しの豊富さや端正さはないもののパワーで押しまくる若き日のジョン・ヒックスがかっこいい。ライヴや教育活動は続けていたようだがレコーディングという意味では実質的に1977年で引退してしまう(11年後の1988年にライヴ盤2枚を出した後また沈黙し、2000年代になってようやく本格復活)トリヴァーの絶頂期の音源がもう一つ増えたことはうれしい。
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