City Lights: Live in Munich, 1994 / Oscar Peterson

これまた2024年の発掘盤。例によってBandcampで知った。

オスカー・ピーターソンの録音はスタジオ、ライヴ、膨大な量が残っているのでありがたみが薄れているが、これは1994年7月13日のライヴ。元はテレビ中継か何かのようだ。

ピーターソンは1993年演奏中に脳卒中を患い左手の自由が利かなくなったが、この演奏は病から復帰後4回目のライヴで、その割にちゃんと聞ける演奏になっているのに驚かされる。確かに動画を見ると左手はあまり動いていないのだが、それでも随所に合いの手は入れているし、右手は相変わらずよく動いている。大多数は言われなければ左手が動かない人の演奏とは気づかないに違いない。

まあレパートリーは言うに及ばず、フレーズ自体もいつものというか手癖的なものが多いのだが、心なしか演奏に生き生きとした気分が宿っているような気もする。長年の相棒ジョー・パスもすでに体調を崩していた時期(翌年亡くなる)で、ピーターソンと同じカナダ出身のローン・ロフスキーという人がギターを演奏しているが、十分代役が務まっている。

ピーターソンのように長いキャリアで年がら年中演奏していたような人は、テクニックがどうこうより当人のやる気とかフレッシュな感覚を保つほうが難しいのではないかと思われる。歳食うと何ごともおっくうになってくるんですよね。そういう意味で、当人としては病気も新しいチャレンジとして捉えていたのではないかという気がする。

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