Tristeza On Piano / Oscar Peterson
オスカー・ピーターソンが遺した録音はとにかく膨大で、私も主要なものなら大方聞いたつもりだが、もちろん手が回っていないものは多くある。特に1960年代後半を中心としたMPSレーベル時代の作品は近年までCD化が散発的だったこともあり、聞いたことはおろか見たことがないものも多い。
これは存在は前から知っていたし、一部では結構有名な作品ではないかと思うが、私自身は今まで聞いたことがなく、たまたま中古で見つけたので今回初めて買ってみたものだ。元々は当時流行っていたのであろうボサノヴァをしっとり演りましょうという趣旨だったのではないかと思われるのだが、何かの勘違いか冒頭1曲目の「Tristeza」がとんでもないことになっていて笑える。ピーターソンと言えば超絶技巧と速弾きだが、そのピーターソンにしてもここでの演奏はたぶん史上最速である。これは早回しではありません。
ほとんど曲芸みたいなもので、ピーターソン自身ちょっとふざけてやっていたのではないかと思われるふしもあるのだが、まあこれだけ弾ければ誰も文句ないでしょう。
残りの曲はインパクトという点では1局目に遠く及ばないものの、相変わらずの華麗な鍵盤さばきが楽しめる。あまり知られていないが個人的に好きで良く聞く1964年のオスカー・ピーターソン・トリオ・プレイズに収録されていた曲が2曲再演されているのがうれしい。このアルバムもそのうち取り上げますかね。
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